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万緑が重くてならず帽子取る
ぶら下がるパンに食いつき背丈伸ぶ
青梅はあれからずつと酒浸り
赤い腹見せ合い恋の井守かな
豪華客船目指す一匹の蟻となり
腹ばかり灼けて背泳好きな我
蜘蛛守宮怪しき家の警備員
ひらひらチョンきくきくチョチョン盆踊
絵日記にたたみこまれる蝉の声
自転するタライの中の西瓜かな
絵日記の主役となりし雲の峰
腰かける石の中より蝉の声
いと派手に声掛けてくる毒茸
炎天下昔気質は水飲まず
踊子と一緒に踊るつけ睫毛
今日も又月の引力月見酒
夕立中右往左往走る走る
針のごと顔に降る降る花火降る
私は代議士様と赤い羽根
爪切って指に勤労感謝の日
燃え尽きた赤夕暮れの曼殊沙華
街路樹のどれも裸木ヌードショウ
大それたことには非ず秋刀魚焼く
レモン切る小さい嘘つてどのくらい
ペナルティーキックに北風として加勢
里芋の親に子どもがしがみつく
公園は銀杏の実でできてをり
秋の陽にあたれば人も渋み抜け
風邪の神舞台の袖で出番待つ
のるたちでやれラグビーだサッカーだ
鍋奉行てふ要職を与へらる
土手鍋の味噌決壊の手前にて
大賞の菊は軽トラに乗り凱旋
咳の人以外全員息止めて
引力の助けを借りて餅を搗く
だれも顔見たこともなし冬将軍
初暦丸を付けしが何の丸
骨折に寝正月をば賜りぬ
お年玉もらう時だけスマホ置く
小顔には程遠きかな雪だるま
独楽回る宇宙の渦の真ん中を
人のこと気になる自分もマスクして
カタログの重さ大きさ春が来た
日向ぼこする人は皆親日派
二月は逃げる三月は去る爺老ける
去年今年自分に付ける通信簿
寒月光女がヒールを履く理由
細指のピアニシモから春立ちぬ
ウイルスに負けじと黄砂押し寄せる
警察犬今日は目溢(めこぼ)し猫の恋
その顔は食へる顔なり牛蛙
赤ちゃんの泣き真似をして恋の猫
けふはけふきのふはきのふ春の雲
二月尽外科医の如く手を洗ひ
羽ばたけば黄粉こぼるる鶯餅
愛か命か濃厚接触不可の春
名は体をあらはす例として眼張
濃厚接触初蝶と私と
アンパンの臍の胡麻とる四月馬鹿
尖がった靴で躓く新社員
藤房のはらはら三密なんのその
ゴールデンウィークゴロ寝ウィークへ
卒業の校門に犬足上げる
濃厚な接触できぬ春なんて
それぞれのマスク褒め合ふ五月かな
ランドセル手足生やせぬままにかな
ストローの穴ある手づくりマスクかな
千手観音百足十匹と握手
秒針が動き出したる時計草
噛み合はせ悪そな山羊や草茂る
これ以上望まない田水ひたひた 蜘蛛の巣は百パーセント蜘蛛の糸 |
椋本望生
山下正純
八塚一
花岡直樹
吉川正紀子
高橋きのこ
山下正純
椋本望生
森岡香代子
八塚一
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吉川正紀子
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柳 紅生
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久松久子
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山本 賜
山本 賜
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