|
2024年10月の滑稽句 |
*今月の特選句・秀逸句以外の佳句を青字で表示しています。
|
蜩の声蕭々と暮れにけり |
相原共良 |
手に受ける滴り手より滴りぬ |
相原共良 |
羅の裳裾ゆれつつまとひつつ |
相原共良 |
粗食でも食える幸せ敗戦忌 |
青木輝子 |
加齢病渡り鳥のごと医者通い |
青木輝子 |
いつの世も男と女蛍の夜 |
青木輝子 |
朝夕を間違ふカーンと昼寝して |
赤瀬川至安 |
貼りぐすり至るところに残暑かな |
赤瀬川至安 |
つくつくし経を唱へて往生す |
赤瀬川至安 |
颱風圏を外れてをるに大雨に |
井口夏子 |
待ちわびし秋風肌をよろこばす |
井口夏子 |
ままごとも主夫やシングル独りめし |
池田亮二 |
おれ盆踊りきみブレイキン夏の宵 |
池田亮二 |
盂蘭盆会暇な宗派もあるらしき |
伊藤浩睦 |
草野球雨に降られて水喧嘩 |
伊藤浩睦 |
台風十号のたりのたりの気まぐれ屋 |
稲葉純子 |
億ションの窓に大夕焼のスクリーン |
稲葉純子 |
お久しぶりねラインの文字に秋の声 |
稲葉純子 |
駅着けば大夕立や危機一髪 |
井野ひろみ |
可愛いねふくれっ面のミニトマト |
上山美穂 |
吟行に退屈はせず秋のバス |
上山美穂 |
蓑虫の住所はくぬぎ五番枝 |
卯之町空 |
葛の花伝言板に幸子の名 |
卯之町空 |
昼下がり口紅を買ふ秋支度 |
梅野光子 |
過ぎ去つてみれば台風騒ぎ過ぎ |
梅野光子 |
草むらに虫鳴く朝の散歩かな |
梅野光子 |
秋うらら神社開設ドル口座 |
遠藤真太郎 |
台本通り行くも行かぬも秋扇 |
遠藤真太郎 |
この頃は弱で使ひし扇風機 |
大林和代 |
踊子になりし頃ありわたしにも |
大林和代 |
母よりも長生きとなり盆の月 |
小笠原満喜恵 |
熱闘の涙はじける甲子園 |
小笠原満喜恵 |
いつの間に天から降りし稲の花 |
岡本やすし |
酒米の旗をなびかせ秋の風 |
岡本やすし |
ジャスミンの香や上海の街角に |
沖枇杷夫 |
銀河鉄道夢の切符は光る君と |
沖枇杷夫 |
土地売りますの看板娘草の花 |
加藤潤子 |
木の枝を噛んでるみたい大オクラ |
加藤潤子 |
新米と知らずおかわり知っておかわり |
加藤潤子 |
秋の暮古包丁の錆びを研ぐ |
門屋 定 |
渡れない三途の川と天の川 |
門屋 定 |
台風に目をつけられし西日本 |
門屋 定 |
殺生を許せ許さぬ御器かぶり |
北熊紀生 |
現状はせつぱ切羽とつくつくし |
工藤泰子 |
ままごとのレンジチンして赤まんま |
工藤泰子 |
予報円日本を覆ふ野分かな |
工藤泰子 |
法被干す祭り仕度に今朝の虫 |
くるまや松五郎 |
凪の厨に今朝の秋風通り初む |
くるまや松五郎 |
秋の声仕事休んだニチヨウビ |
くるまや松五郎 |
炎天をよけて歩けと子らは言ひ |
黒田恵美子 |
忘れさういつもマスクの友の顔 |
黒田恵美子 |
ヨーイヤサ太鼓トントン夏祭 |
黒田恵美子 |
タラップに蝉の片羽夏の果 |
桑田愛子 |
盆波の高きにケータイ握り締め |
桑田愛子 |
ばばの手を添へをさな児の西瓜割 |
桜井美千 |
ワイパー全力道を烟らせ大夕立 |
桜井美千 |
をさな児の声はじかせる大花火 |
桜井美千 |
米不足楠公飯で凌ぐ秋 |
敷島鐵嶺 |
モンローのそこはかとなく河に月 |
敷島鐵嶺 |
ララミーといふ牧場の虫すだく |
敷島鐵嶺 |
三家族が緊急補正やお盆玉 |
壽命秀次 |
朝散歩捥ぎたて胡瓜かじりつつ |
壽命秀次 |
宿題の孫に鳴け鳴け法師蝉 |
壽命秀次 |
太陽を丸ごと背負ひ墓洗ふ |
白井道義 |
知らん振りするのが得手や生身魂 |
白井道義 |
「息吸つて吐いてください」原爆忌 |
白井道義 |
秋澄むや藍満足の色に染む |
鈴鹿洋子 |
恋話し生き生き生きと生身魂 |
鈴鹿洋子 |
都会へと引き取られ行く生身魂 |
鈴鹿洋子 |
風よ吹け洗濯物は我が家の旗 |
鈴木和枝 |
両手が有る失敗しても大丈夫 |
鈴木和枝 |
番号札もらい病人になって長椅子 |
鈴木和枝 |
持病には雁字搦めの猛暑かな |
髙須賀渓山 |
丹田にドンと応える大花火 |
髙須賀渓山 |
新米のお焦げふうふう戴きぬ |
髙須賀渓山 |
さぞ無念かたきを前に菊人形 |
髙田敏男 |
冥土から参加してをり踊の輪 |
髙田敏男 |
本堂に客は一人よ茶立虫 |
髙田敏男 |
秋立つや背後に芸術控へさせ |
田中 勇 |
赤とんぼ吾に突撃するやうに |
田中 勇 |
老人の本音を吐きて法師蝉 |
田中 勇 |
秋の蚊を叩く闘志の無かりけり |
田中やすあき |
怪獣の背中にチャック野分跡 |
田中やすあき |
不夜城を摘まみ出さるる虫の闇 |
田中やすあき |
盆の入りポチの遺したビタワンよ |
谷本 宴 |
ひとりでもちやんと咲きます蓼の花 |
谷本 宴 |
流れ星願ふ間もなくあああああ |
谷本 宴 |
好物は最後にいただく生身魂 |
月城花風 |
頂と裾だけ見せし夏の富士 |
月城花風 |
村芝居佳境に愚図る赤子かな |
月城花風 |
秋の蚊を叩けばパチンと太鼓腹 |
土屋泰山 |
ひょっとこの口真似してる柘榴の実 |
土屋泰山 |
鞄さげ寅さん真似るや秋うらら |
土屋泰山 |
うぬぼれを語るそばから星流る |
百目鬼強 |
身に入むや吾によく似し羅漢さま |
百目鬼強 |
へなへなの野菜でしのぐ残暑かな |
百目鬼強 |
おほらかな家風なんです糸瓜棚 |
長井多可志 |
終はりなきやうな残暑や晩年も |
長井多可志 |
亡き母の実家の家紋やきちかうは |
長井知則 |
孫去りて夫婦ふたりの秋簾 |
長井知則 |
秋なのに異常気象か蝉が啼く |
長井知則 |
宿題は一族総出夏館 |
永井流運 |
夏了り欠伸の多き村議会 |
永井流運 |
戻り梅雨美男ガイドは雨男 |
永井流運 |
わがままに生きて苦渋し原爆忌 |
長尾七馬 |
八月に生まれ母への初不孝 |
長尾七馬 |
九十過ぎの夏生きてゐて子へ不孝 |
長尾七馬 |
秋暑し鵜小屋の水のなまぐさく |
名本敦子 |
観覧車ごつごつ触るるうろこ雲 |
名本敦子 |
草よりも一寸上を秋の蝶 |
名本敦子 |
灯火消すやうに摘みゆく島蜜柑 |
西野周次 |
雲一朶無き秀麗の草千里 |
西野周次 |
戦争はいかんいかんと法師蟬 |
西野周次 |
新涼に遅いとみくだり突きつける |
花岡直樹 |
迷走の訳野分にもわかんない |
花岡直樹 |
枝豆やビールなしではただの豆 |
花岡直樹 |
正眼の構へ崩さぬ枯蟷螂 |
浜田イツミ |
大根蒔くこんなに晴れた空の日に |
浜田イツミ |
きつねのかみそり振り向くたびに増ゆ |
浜田イツミ |
上弦の月の分身湖に置く |
東 麗子 |
棉吹くや雨のはじめのピチカート |
東 麗子 |
うちの子の横に美少女運動会 |
東 麗子 |
捨て案山子雀遊びに来てをりぬ |
久松久子 |
獅垣に囲まれて住む村となり |
久松久子 |
秋の日の指人形のよくしやべる |
日根野聖子 |
今ここにをりしがどこへ秋の蝶 |
日根野聖子 |
絵日記にいやといふ程生る西瓜 |
藤森荘吉 |
極楽から飛んで来たのか汝よ蜻蛉 |
藤森荘吉 |
ぐったりと木々も疲れる残暑かな |
細川岩男 |
台風に好かれ睨まれ暴れられ |
細川岩男 |
酒徳利秋の夜長にもう一本 |
細川岩男 |
朝顔や約(つま)しき路地にいい男 |
ほりもとちか |
本心は帰したくなき魂送り |
ほりもとちか |
天上は涼しからむに先祖来る |
南とんぼ |
パトカーに乗せたいノロノロメガ台風 |
南とんぼ |
欠席の丸は太字の敬老会 |
峰崎成規 |
斜に構へのらくら生きて穴惑ひ |
峰崎成規 |
錆鮎に急ぐ先あり逢瀬あり |
峰崎成規 |
爺々と呼べど婆々とは鳴かぬ蝉 |
明神正道 |
フライパン火力強める蝉時雨 |
明神正道 |
敬老の日や魚の目に水見えず |
明神正道 |
蛇届く「漂流郵便局」宛に |
椋本望生 |
蟷螂の動きはまるでオノマトペ |
椋本望生 |
墓参りせくな老楽これからよ |
椋本望生 |
朝顔のつるのいやがる右回り |
森岡香代子 |
透け感あり赤とんぼうとワンピース |
森岡香代子 |
まあまあと台風なだめ石鎚山 |
森岡香代子 |
洗顔の手をとめ虫の声を聴く |
八木 健 |
せりあがる胡弓哀しき風の盆 |
八木 健 |
存分に待たせ流星ひとつだけ |
八木 健 |
箱買いの梨も気付けばあとひとつ |
八塚一靑 |
一匹の烏賊は干されて一枚に |
八塚一靑 |
化け方を忘れるほどの良夜かな |
八塚一靑 |
夜学の子夢中に夢を見てをりぬ |
柳 紅生 |
良夜かな金平糖の角触れて |
柳 紅生 |
七夕や二つの定規寄せ合ひて |
柳 紅生 |
顱頂(ろちょう)にも水をぶつかけ草むしり |
柳村光寛 |
枝の贄盗られつぱなしのどじな鵙 |
柳村光寛 |
鰯釣り鱗まみれの五指光る |
柳村光寛 |
帰省子やハザードマップとにらめっこ |
山内 更 |
広告はひと足早く秋めけり |
山内 更 |
パキでなくパシリと割れる夏煎餅 |
山下正純 |
法師蝉末期の際を説法す |
山下正純 |
台風の名前負けして安堵かな |
山下正純 |
新米に梅とごま塩豊の秋 |
横山洋子 |
スマートになりておめみえ秋刀魚かな |
横山洋子 |
ひと夏の疲れの色や秋簾 |
吉川正紀子 |
かくれんぼコスモス園に秘密基地 |
吉川正紀子 |
赤ペンで答えを埋める八月尽 |
渡部美香 |
ふたサイズ広げし指輪豊の秋 |
渡部美香 |
台風の道草寄り道お断り |
渡部美香 |
梅干の皺がつぶやく戦中派 |
和田のり子 |
軍刀はへし折つてしまへ敗戦忌 |
和田のり子 |
汗だくの患者に医師がドアボーイ |
和田のり子 |
|
|
|
|
|
|