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 本阿弥書店月刊誌 「俳壇」 より

本阿弥書店



滑稽俳壇  2017年5月号  八木健 選

四月号から「微苦笑俳壇」は、「滑稽俳壇」に名称が変わっています。

●特選


  もう誰もだましてくれぬ四月馬鹿 / 田村米生


  「詩」は哀しさが透けて見えるもの。
  騙されたふりをして喜ばせた子ども達も大きくなった。
  飲み屋のママさんも最近そっけない。
  ならば私が電話しましょう。
  「滑稽俳壇の八木健です。田村さん特選です」。






  日向ぼこ皆逝く時の顔となり / 尾関凍歩


  俳句は写生、観察し、見つけた何かを詠む。
  その何かは「滑稽」です。
  逝く時の顔は「穏やかな半眠り」ですね。
  「日向ぼこかなりのワルも仏顔」となる。
  太「名誉地位財産要らず日向ぼこ」。
  もともと無かったけどね。






  花曇肩もみ券も棺に入れ / 柳 紅生


  故人となられた方のお孫さん発行の肩もみ券。
  未使用分ですね。
  天国で疲れた時に、この券使ってくださいな。
  天国で使えるかなんて考えてはダメ。
  一句出来ました。「肩もみ券三途の川で濡らすなよ」。
  






 ●秀逸

  春雷や猫より失せる恋心      板坂壽一

  役人のつくる笑顔や納税期     龍野ひろし


  
逃水を追つて速度を違反せり    丸山祐司

  
大袈裟にいへば文化や土筆摘む   馬場菊子

  
熱源のネコが出てくる春炬燵    細川てつや

  
杉の国秋田生まれで花粉症     石川 昇

  
搗きたての素通りさせぬ草の餅   越前春生

  
虎落笛一つ覚えの声をあぐ     壽命秀次





 ●入選

  蒟蒻の受難の日なり針供養     久松久子

  
地獄絵を見る極楽や彼岸寺     高田敏男

  憚らずこれみよがしに囀れる    岸田尚美

  たんぽほの絮吹く顔のみな寄り目  阿部鯉昇

  仕舞はれるひひなや瞼明けしまま  稲葉純子

  センター試験待つていたかに大寒波 佐野萬里子

  蛇穴を出てより続く背伸びかな   北川 新

  ベランダの戸を開けぬまま鬼は外  萬徳京子

  をさな子に叱られてゐる子猫かな  原田 曄
  
  この恵逃すものかと蒲団干す    荒川 清






【筆まかせ】滑稽俳句協会会長 八木健 近詠

聞き役の爺のふむふむ梅ふふむ 左遷でも空気が綺麗春の駅
街角やミニはミニでもシクラメン 饒舌がいつか寡黙に花疲れ
お花見の場所取り新社員の仕事 初蝶のいつしか初の取れて舞ひ
目借時欠伸ウイルス活発に 夏蜜柑夏がついても春の季語
四温マイナス三寒イコール一温か ごぼごぼと歯科の嗽の水温む
つばくらめ可愛い鳥を呼び捨てに
熱つぽい色をしてゐる木の芽風
下萌と呼ばれマンション最上階
健康のためにと竹の青き踏む
古ひひな生身魂にもなれぬまま