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 本阿弥書店月刊誌 「俳壇」 より

本阿弥書店



滑稽俳壇  2019年10月号  八木健 選

四月号から「微苦笑俳壇」は、「滑稽俳壇」に名称が変わっています。

●特選


  食べる日をメロンが決める高級度 /西田唯士


  食べ頃を決めるのは、
  生産農家でも購入者でもない。
  メロン自身の熟れ具合である。
  他の農作物だってそうじゃんかと言うなかれ。
  メロンは高価だから、ドンピシャのタイミングで
  食べないと損した気分になる。






  子には子の逃げる楽しみ天瓜粉 / 稲葉純子


  なるほどね。「人生はゲーム」と
  マザーテレサも言ってたね。
  母親は子を白粉まみれにする楽しみがあり、
  子は逃げる楽しみがある。
  稲葉さんにはそれを句に詠む楽しみ、
  八木健にはその句を選ぶ楽しみがある。 






  失脚をする人間もががんぼも / 柏原才子


  言葉遊び、「失脚」違いですね。
  人間の失脚は、しくじって地位や立場を追われること。
  ガガンボは脚がとても長い分、
  失うと致命的なことになる。
  一句出来ましたよ。「短足の人は失脚怖くない」。
  






 ●秀逸

新豆腐堅い話の噛み合はず

草を取る草に文句を言ひながら

飛翔体の報道もしや夏燕

朝顔を買はで売子を見てまはる

打ち水の孫と一緒はエコならず

湯加減を聞きたくもなり熱帯魚

敬遠の敬となるまじ敬老日

揚花火揚がるまでには出来上がる

柳 紅生

竹村清繁

荒井 類

腰山正久

石川 昇

小田和子

松永朔風

飛田正勝


 ●入選

安物に見えぬ美人のサングラス

心太突き出す如に本音出る

艶聞も旧聞となり敬老会

とんかつ屋売りはキャベツの食べ放題

回文の名詞はトマト動詞は食べた

右ひだり前うしろよと西瓜割

はつけよい一瞬とまる団扇かな

今年また大洪水の天の川

金魚掬ひあわてん坊を見抜かれて

種物屋種なし西瓜の種を売る

柳村光寛

壽命秀次

横山喜三郎

田村米生

小田慶喜

白井道義

龍野ひろし

前 九疑

久松久子

日向豊雄


【筆まかせ】八木健(滑稽俳句協会会長)近詠

そら豆のどれも天向く向上心
夏座布団出されて長居する羽目に
お天気ももの忘れかも戻り梅雨
蝮出ますの看板にある抑止力
葛餅はいかがの声もやはらかに
おひやとは冷酒のことで立ち飲み屋
工芸やマスクメロンのその網目
ふるさとへふるさとへ夏祭目指し
波音のざざざに光る夜光虫
威嚇する癖ゴロつきの雷に
三十六計逃げるが勝ちと蜥蜴君
寄せ返すことに根気や土用波
手と足がばらばらでこそ盆踊
厄日とは土用の丑の日鰻には
新生姜辛さの未熟好ましき