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 本阿弥書店月刊誌 「俳壇」 より

本阿弥書店



滑稽俳壇  2017年8月号  八木健 選

四月号から「微苦笑俳壇」は、「滑稽俳壇」に名称が変わっています。

●特選


  血相を変え雷の母五郎五郎五郎 / 荒川清司


  久しぶりに達者な地口の登場。
  言葉遊びは結構難しいものですが、ゴロゴロと五郎五郎の語呂合わせも巧み。
  選者も頑張ってみましょう。
  「食べ過ぎの腹のゴロゴロはたた神」
  「神鳴はヒマもてあましコゴロゴロと」。






  喉に居る仏のせがむ生ビール / 田村米生


  自分が飲みたいのに「仏」がせがむとしています。
  分類するならば責任転嫁型。
  仏様への敬意を示す必要があります。
  「生ビール喉の仏にまず一杯」。これは便乗型ですね。
  ならば、「喉の仏と飲み放題の生ビール」。






  父の日や何もなけれど髭を剃る / 石川 昇


  「父の日」は、盲腸と並び称されるほど存在感が希薄。
  父の日を意識しているのは、デパートぐらいです。
  「父の日なんだから留守番お願いね」
  とお出掛けの母娘。ひょっとして…
  の何かを期待して髭剃るわけですね。
  






 ●秀逸

  上司注ぐ酒飲み干すも絵踏みかな    北川 新

  草刈機喝入れるかに礫飛ぶ        柳 紅生

  ワンプッシュラムネあらかた零れけり   田中千波

  喋りすぎ諭され降りる告天子        西田唯士

  母の日の母へのことばさがしをり      越前春生

  抜けどきをつかめぬままの踊りの輪    横山喜三郎

  金策といヘど片蔭つたひ行く         宮田久常

  スカートの割れをば深く更衣        尾関凍歩





 ●入選

  五月病回復すれば恋に病み        髙田敏男

  
何もかもこぼれ出るよな水着行く      早川 賓

  夏帯を締める力を褒められる        山本 賜

  豆まいてあと腰に来て足に来て      原田 曄

  下積の花火あってのスターマイン     小林英昭

  行き当たりばったりの旅天道虫       稲葉純子

  蝌蚪育ち今は水田の合唱隊        竹村清繁

  風向きがこちらに変わりしやぼん玉    久我正明

  夏祭り口調見得切る啖呵売         金山敦観
  
  羽抜鶏枝の雀に囃されて          久松久子






【筆まかせ】滑稽俳句協会会長 八木健 近詠

葉を重ね葉桜鬱の蔭つくる 断捨離をすればすなはち夏座敷
氷旗氷の文字は苺色 卓上の季語の目刺は干からびる
道交法の適用除外道をしへ プチトマトはちきれさうな色をして
LEDの光届かず五月闇 噴水の抑えられない怒りかな
熱々のふたりを冷ます冷奴 浴衣着て足裏は下駄を恋しがる
銃刀法適用除外水鉄砲
この世への復帰は未だ昼寝覚
羅でラッピングされ令夫人
平坦に見えて坂道街薄暑
つばめの子数えるたびに伸びあがる