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 本阿弥書店月刊誌 「俳壇」 より

本阿弥書店



滑稽俳壇  2017年6月号  八木健 選

四月号から「微苦笑俳壇」は、「滑稽俳壇」に名称が変わっています。

●特選


  もしかして経済速度鳥帰る / 細川てつや


  なんせ長距離だからね。
  あのぐらいのスピードでよろしい。
  俳人達が句に詠める速さを、との気遣いもあるかもよ。
  「鳥帰るスピード太古より同じ」。
  まあ、ホントの理由は俳人にゃあ分からんさ。






  割れなけりゃゴミとなるかも石鹸玉 / 小田和子


  桜は散るもの、石鹸玉は割れて消えるもの。
  歳をとって経験が増えるほど、
  当たり前の事実に発想がとらわれてしまう。
  石鹸玉が割れないまま残ったら…とは、
  何としなやかな想像力。






  一堂に会すライバル入社式 / 荒川着司


  偉い!入社式の時点で全員を
  ライバルだと認識するなんてスゴイ。
  脳裏にチラと浮かんだことが作句の動機になる。
  荒川君の場合、入社の時点でライバル意識を
  持っていれば出世していた筈なのに…という反省か。
  






 ●秀逸

  減量へせめて髪切り春の昼      柳 紅生

  絮になりたんぽぽ親の目をのがれ  小林英昭


  
美しき嘘には弱気四月馬鹿      田村米生

  
ががんぼは組み立てられてガラス窓 山本 賜

  
春昼や気ぐすりといふ無駄話     越前春生

  
明日帰る若者ばかり村まつり     横田喜三郎

  
賛成も反対もなしマスクして      稲沢進一

  
黒揚羽まるでステルス戦闘機     稲葉純子





 ●入選

  青空へ溜息はこぶシャボン玉     笠 政人

  
大吉を拡大コピー初神籤        永井弘子

  逝つて終ひぬ春眠の覚めぬまま   伊藤玉枝

  大陸の塵も塗して春霞         畑 正博

  一つしか行けぬに三つ合格す    前 九疑

  大試験十指一気に折り鳴らし     原田 曄

  欠点も個性と褒める四月馬鹿    寺川銀次郎

  日向ぼこ焦げ臭きまで彼とゐて   久松久子

  春の風邪貰ふ絆の強さかな     丸山祐司
  
  神聖なもののごとくに蝌蚪生るる  柳村光寛






【筆まかせ】滑稽俳句協会会長 八木健 近詠

春眠をむさぼり読経さぼる僧 葱坊主カラオケマイクのかたちして
恋猫の求愛万国共通語 ときどきは口すぼめたい鯉幟
引退を噂されゐる春火鉢 太つ腹清濁を飲む鯉幟
初蝶を庭に待たせてメールかな パジャマにはシルクがよろし夏は絹(来ぬ)
初蝶のふらつく癖は叱られず 筍のお裾分けををばお裾分け
絶滅危惧と聞いて食いたくなるウナギ
電子辞書さすがの紙魚もお手上げの
消しゴムは無しつけすぎの香水に
五等分に最大の努力西瓜切る
ダイエットして夏負の人となる