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 本阿弥書店月刊誌 「俳壇」 より

本阿弥書店



滑稽俳壇  2018年7月号  八木健 選

四月号から「微苦笑俳壇」は、「滑稽俳壇」に名称が変わっています。

●特選


  歌詞忘れラララで歌うキャンプの火 / 柳 紅生


  なあに、歌詞を忘れ音程が外れていたってかまわん。
  楽しいのが一番さ。
  「ハミングの曲名いつもラララララ」
  「あの人は付き合い上手音痴だが」。
  たまに「歌好きに付き合い疲れ眠つたふり」の人もいるけどね。






  二人静や漫才のオフの日は / 稲葉純子


  「二人静」は山草で、季語になっている。
  俳句は季語を賛美することに始まり、それは今も受け継がれているが、
  この句は季語の本意を人間にすり替えて滑稽句に。
  一つできましたよ。
  「一人静や漫才の仲違い」。






  目のやり場なき露出度で気づく初夏 / 森 泰博


  パソコン作業に没頭していて目が疲れた。
  目を休ませようと外に出たところ、
  道行く女性の服の露出度が高くてびっくり。
  ジロジロ見てはいかんぞ。
  「目のやり場必死で探し眼の疲労」。
  余計に疲れることに。
  






 ●秀逸

花の宴果てて凝りたる夜の肩 北川 新
片陰をはみ出す分をダイエット 堀川明子
予備校に卒業式のなかりけり 阿部鯉昇
共生と言ひつつ殺す油虫 玉置泰生
白昼の交尾にはげむ鯉幟 笠 政人
うやむやで美しい国万愚節 永井弘子
ダム湖からビルが顔出す旱かな 川添弘幸
オレオレの嘘は年中万愚節 石川 昇

 ●入選
セクハラと相合傘の春の雨 山内哲夫
辛の字に一本足して幸の春 荒井良明
母の日の母の似顔絵長睫 尾関凍歩
謝絶には手頃の理由春の風邪 加藤 賢
ロボットの真似する人間万愚節 久松久子
真似しても河鹿のやうにはいかぬなり 山本 賜
入学式大の男が付き添はれ 西尾泰一
さよならをしても香水つきまとひ 田村米生
紋付の正装に威儀蝶の婚 馬場菊子
しあわせな家族そろつて春眠し 藤森荘吉

【筆まかせ】八木健(滑稽俳句協会会長)近詠

巣づくりの軒を物色初つばめ ダイエットできて待ち遠し更衣
春の川跨げるものを跳んでみせ 更衣どれが二の腕一の腕
春の川跨げるものを跳んでみせ 竹皮を脱ぐどの竹も自発的
春眠の季語に従順朝寝坊 早乙女の平均年齢など訊くな
絵を描けて文字は書けない花躑躅 尺取虫を分類すれば几帳面
ヌードポスター名目は健康美
いくらでも大きくなりたい雲の峰
盗聴器仕掛けるに難夏座敷
時系列で記憶をたどり昼寝覚
マネキンの裸を担ぎ作業員