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 本阿弥書店月刊誌 「俳壇」 より

本阿弥書店



滑稽俳壇  2018年4月号  八木健 選

四月号から「微苦笑俳壇」は、「滑稽俳壇」に名称が変わっています。

●特選


  竹爆ぜて鬱憤晴らすどんど焼 / 壽命秀次


  竹を擬人化して面白い句になった。
  自分の代わりに竹が鬱憤を晴らしてくれたのだ。
  「どんど焼竹に鬱憤晴らさせる」としてみたが、
  「爆ぜる」がないと勢いが出ない。
  こうしよう。「どんど焼竹に鬱憤爆ぜさせる」。






  ふくらんで空気を着たる寒雀 / 馬場菊子


  俳句は、誰もしていない表現をすると
  「お手柄です」と褒められるが、
  そんなこと言われなくても自分で良いと
  思える表現ができたら嬉しいもの。
  この句は「空気を着る」がええなあ。大手柄です。






  枝先に神楽鈴めく枇杷の花 / 青山桂一


  枇杷の花と神楽鈴の両方を知っている方には、
  「なるほど」と思わせる句である。
  「めく」として断定的でないので句が柔らかになっているが、
  こんな風にしても面白いかも。
  「神楽鈴がこんなところに枇杷の花」。
  






 ●秀逸

あらそうなのあたし毎日女正月 西尾泰一
ネクタイは兜の緒なり初仕事 柳 紅生
初夢に会ひし人みな声持たず 尾関凍歩
農具市先づは年金アンケート 和城弘志
女正月酒の肴になる亭主 田村米生
正月やマナー違反の家庭ごみ 石川 昇
木を仰ぐときは口開け懐手 加藤 賢
人諭すための熱燗とくとくと 稲葉純子

 ●入選
しがらみを着ぶくれてをり土俵外 横山喜三郎
嬉しくもなし名前が誤字の年賀状 荒川清司
掃き初は踊り初とも初ルンバ 村上小一郎
二日はや孫は憎まれ口たたく 細川てつや
左義長のニュースをしのぐ晴着詐欺 小田虎賢
節分や鬼の肩には貼り薬 柳村光寛
談合の春胸襟の密議かな 金山敦観
一度聞きたし山の笑ひ声 柏原才子
青春の夢の挫折に水温む 稲沢進一
AIにとつて代はらるる春の夢 早川 寶

【筆まかせ】八木健(滑稽俳句協会会長)近詠

しがらみを可視化したのが枯葎 耳たぶはマスクに貸して存在感
建て付けの悪さを好み隙間風 死ぬことを往生などと新年会
暖房の調節こまめ倹約家 サラダにも大樹のありてセロリ噛む
値打ちある人に皺あり干大根 訊きにくいものに合格不合格
容赦せぬものに寒波とカンパかな 親指は発句の如し足袋を履く
性別は誰も知らない雪達磨
雪に立ち鼻から雪のにほひ吸ふ
陰だけを描いて完成雪景色
はふはふと焼藷褒めるオノマトペ
尻炙(あぶ)る贅沢浜に焚火して