2024/11/4 更新 | ご利用にあたって |
   

151回 俳句遊遊

141回 川柳天国


   
俳句遊遊 バックナンバーはこちら 川柳天国 バックナンバーはこちら
 



第十七回滑稽俳句大賞 作品募集
 
 

第十二回滑稽俳句協会報年間大賞決定!
 
天 賞 田中やすあき(埼玉県)
「犬掻きの鼻先に来る夏の波」
地 賞 北熊紀生(東京都)
  「霜柱踏まねば損をするやうな」
人 賞 長井多可志(千葉県)
  「落葉にもA面B面ありにけり」

詳細はこちら   
 

今月の特選句

新品種のルーツはこれぞ黒葡萄

井口夏子

最近、葡萄の新品種が続々と登場している。緑色、深い紫黒色、明るい赤系統の品種も。これらのルーツである黒葡萄を感動的に眺めている。

体重計絵踏のごとくそつと乗り

北熊紀生

体重計に乗る時、それは真実と向き合う時である。体重計は一切、忖度も無く、事務的に数字で知らせてくる。恐る恐るの気分が表現された。

息すれば肺が灼けつく酷暑かな

伊藤浩睦

肺が灼けつくとはよく言ったもんだ。炎天下の空気は熱くて息ができない。この最近の暑さは、まさにこの通り。決して大袈裟でも誇張でもない。

冷気より涼風ほしき昭和人

横山洋子

言葉遣いの名人である。冷気と涼風の違いを明確に述べている。冷気はエアコンによって作り出される人工物で、涼風は自然が作る天然物である。

台風来両手に土産の雨さげて

吉川正紀子

作者にとって台風は有難くないお客さん。手土産に雨と風を持って来る。台風を擬人化した句はいろいろあるが、この発想は誰もしていないね。

振り向けば男も日傘笑み返す

久松久子

日傘の人を追い越した。今の日傘は男性だったかそれとも…、と気になって振り向いた。男性だった。目が合って、ニッコリ。小さなドラマがある。


 今月の秀逸句  七七をつけてみました

 
  数珠つなぎ追突もあり流灯会 井野ひろみ
    ・・・迂回路つくるわけにもいかず
 
  我が日本語ときどき届かず秋遍路 沖枇杷夫
    ・・・英語の方が通じたりして
 
  銀しゃりになる夢を見し稲の花 岡本やすし
    ・・・夢を見たのは句の作者かも
 
  硬質の胡桃の色のやはらかき 桑田愛子
    ・・・柔軟性で硬い物詠む
 
  靴がない妻は家出か星月夜 卯之町空
    ・・・心当たりは今朝の口論
 
  芋虫や遺憾ですがと日本人 遠藤真太郎
    ・・・遺憾ですがと弱虫外交
 
  げつぷまで爽やかに出るコーラかな 藤森荘吉
    ・・・コーラのイメージスカッと爽やか
 
  忘れたいことほど忘れられない鰯雲 日根野聖子
    ・・・忘れたければ雲を数へよ
 
  先輩も後輩もなき秋の蝉 大林和代
    ・・・あつという間の人生なれば
 
  ふるさとの花火見下ろす最終便 小笠原満喜恵
    ・・・機上で観ればどんな形か
 
  夏出水問はれる地球のキャパシティ 上山美穂
    ・・・減らさなければ地球の負担
 
  ピカソには見えぬ色なき風の色 長井多可志
    ・・・俳人だけが知つている風
 
  今まさに吾が庭の蝉豪雨なる ほりもとちか
    ・・・時雨どころかザーザー降りで


ページの先頭へ