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152回 俳句遊遊

143回 川柳天国


   
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第十七回滑稽俳句大賞 作品募集
 
 

第十二回滑稽俳句協会報年間大賞決定!
 
天 賞 田中やすあき(埼玉県)
「犬掻きの鼻先に来る夏の波」
地 賞 北熊紀生(東京都)
  「霜柱踏まねば損をするやうな」
人 賞 長井多可志(千葉県)
  「落葉にもA面B面ありにけり」

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今月の特選句

何処へいく木の葉のきつぷ風の駅

森岡香代子

枯葉は一陣の風に吹かれて駅を離れてゆく。しかし、次の駅 がどこなのか、終着駅がどこなのかは知らない。風の駅の駅 長さんに聞いてみますか。

四苦八苦掛けて足したら除夜の鐘

ささのはささら

本当のような嘘をつくのが文芸とするなら、この句はまさに「文 芸」である。除夜の鐘は百八つ。この句で、煩悩の数とされて いる根拠が判明したね。

値上げに遅配それでも出します年賀状

南とんぼ

年賀状を書く人より、書かない人の方が多くなっている。「年賀 状じまい」という言葉もよく見かけるが、迷いなく「出します」の 宣言が嬉しいね。

淑気満つ楕円な暮らし真四角に

遠藤真太郎

淑気の緊張感を視覚化した巧妙な句である。言葉の抽象を言 葉で具体化することは難しいのだ。なかなか使いこなせない 高度な技の句である。

どの口も寒さばかりをぼやき行く

日根野聖子

「寒いね」「冷えますね」。交わされる挨拶を俳句的に俗な表現 をするとこんな句になる。「どの口もぼやく」と川柳的なと ころが俗っぽくていい。

浅漬や時短時短の流行る現代

ほりもとちか

何をするにも効率が優先される現代を「浅漬け」並みだと皮肉 っている。俳句もこんな風に社会時評できると後世に生き残る 可能性が出てくる。


 今月の秀逸句  七七をつけてみました

 
  ふくろうは見てる過去現在未來 谷本 宴
    ・・・首をぐるりとまはしてゐるね
 
  吹けば飛ぶようなプライド鰯雲 永井流運
    ・・・矜持を教示してあげませう
 
  勝つよりも負けじと思ひ冬構 岡本やすし
    ・・・負けるが勝ちといふ痩せ我慢
 
  秋の蝶やぶれかぶれに飛んでをり 尚山和桜
    ・・・蝶には蝶の事情があらむ
 
  初冬の季語を重ねる着ぶくれて 沖枇杷夫
    ・・・句会に出ても身動きとれず
 
  作るから買うに変身せち料理 花岡直樹
    ・・・結局買つた方が安くて
 
  湯豆腐や卓の向かひの空けてあり 花畑つくし
    ・・・なにやらドラマの始まる気配
 
  焼鳥の暖簾気になる冬初め 吉川正紀子
    ・・・気になるときはちよつと寄り道
 
  ホットワイン啜る慣れない口づけのように 桑田愛子
    ・・・慣れた口づけワインがぶ飲み
 
  友をもてなす間引菜の大根汁 桜井美千
    ・・・さり気ないから負担にならず
 
  着ぶくれて薬の嵩(かさ)のまた増えし 三木雅子
    ・・・痩せる薬もひと匙混ぜむ
 
  紅マドンナ高値に皮を捨て惜しむ 小笠原満喜恵
    ・・・皮も食べなきや損した気分
 
  七難隠し色白の雪女 稲葉純子
    ・・・はつきりはせぬその目鼻立


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